生徒に教えられた、信じることから見える可能性 DAY122




今年、大学受験生になる生徒を持っている。

ひょんなことがきっかけで家庭教師を行うことになり、今年で2年目。

私の生徒、第一号である。

通っている高校はかなり特殊な中間一貫校で、定期テストが無かったり、学年の先輩後輩関係が無かったり、体育祭や文化祭などの出席も自己判断。

自主性と個性を重んじる学校であるため、どう行動していかなければならないのかを考えて動かなければならない。

逆に、サボっても、怒られない学校でもある。(笑)

そんな特殊な学校に中学から通う高校生の女の子。

彼女が家庭教師を志望した理由は、”英語を通して色々な国の人とコミュニケーションを取りたい”から。

「自分から英語を学びたいと思ってくれるなんて…!」二つ返事で了承した。

そして、最初の授業。

彼女の通う学校のカリキュラムはあってないようなもので、まずはアルファベットの確認から。

中1からの英語の勉強が始まった。

bとd、pとqを間違えなければ大丈夫そう。

そして、be動詞と一般動詞。

英単語も中1の単語から。

でも、始めてみると、異変に気付く。

吸収が尋常じゃないくらい、早い。(笑)

私が説明を前のめりになって聞き、演習に取り掛かる。

そして、正答率はほぼ100%。

あまりにも良くできるので、高1までの英語学習を取り戻すためにも毎回大量の宿題を出した。

宿題と別に、授業冒頭に行う小テストの勉強も。

当時の高校受験生の中3生に夏休みに出す宿題と同じ量を。(笑)

全部、やってくる。

小テストは毎回ほぼ100%。

彼女の凄いとことは、勉強面でも、精神面でも、本当に「真っ白なキャンバス」を持っているということ。

やらされてきたことが無いからか、自分でやりたいと思ってやるからか、全て素直に聞き入れ、一生懸命である。

一度、授業前日に連絡が入り、何かと思ったら「今週は学校の行事と委員会が多くて、宿題が1ページ終わりませんでした。ごめんなさい。」とのメールが。

その時の私「…!!いいのよ!!!そんなときもあるよね!!!!」

とてつもなく可愛くてたまらなかった。(笑)

そして、それから半年とちょっと。

高2の春。

中学英語、終了。

彼女の英語スキルは格段にアップしていた。

そして、実力試しに英検準2級を受けることに。

英検が実施される夏の後、私はパリに行くことになっていた。

結果は、合格。

後で聞いたら、「先生に絶対合格をプレゼントするんだ」と一生懸命に勉強をしていたんだとか。

半年で、ゼロから英検準2級、とれちゃった!

今や彼女は英作文もスラスラかけるし、レッスンでは英語で会話も、ディスカッションもする。

そんな彼女、今年、大学受験生。

志望校は、ICUこと国際基督教大学。

ICUの試験はかなり特殊で一般的な大学の入試対策だけでは受からない。

帰国子女や留学経験者はざらにいるし、その中で英語を武器に戦わなければならない。

もし私が英語を見るとしても、他の科目もあるし、小論も必要となる。

そして、英語レベルは当たり前だが相当高い。

正直な話、今のままだとかなーり厳しい。

中学英語の学習が終了した後は、”教科としての英語”ではなく”使える英語”として話すことと書くことに集中して授業を行ってきた。

その為、俗に高校英語と言われる”教科としての英語”をこれから学ばなければならない。

学ぶだけならいいが、そこから応用力も付けていかなくてはならない。

しかも学校には定期テストがないから、全教科どれだけできるか指標も分からない。

かなりの難題である。

無謀かもしれない。

正直、悩んだ。

志望校を変えてくれないかなとも思った。

せめて、試験傾向や対策が特殊ではない大学、慶応でも、早稲田でも、上智でも。

その為、他の大学の提案も、オープンキャンパスに行くよう声をかけて、滑り止めや本命の大学の再確認をするように言った。

そして今日、改めて彼女に聞いた。

彼女が出した答えは、

やっぱり、ICUに行く。

今まで普通の高校で生徒がしてくる勉強をしてこなかったから、浪人するのもいいかもしれない、これは今私がしなければいけないことだから。

そう私に言った。

ハッとさせられた。

何で、最初からこの子のことを信じてあげられなかったんだろう。

私、ばかだなあ。

挑戦するっている選択肢、潰そうとしていたのは、私だった。

彼女はステータスとか、偏差値とかで無謀に大学選びをするような子ではない。

心にあるのは、純粋に、そこで学びたいということ。

だから、浪人も彼女にとっては一切マイナスなことではない。

彼女はレッテルの中でも、ステータスの中でも生きていない。

ただ真っすぐに、澄んだ目を前に向けている。

そして、本気で努力をすれば合格の可能性を見出すことが出来るポテンシャルも持っている。

今まで、私が一番近くで見てきたじゃないか。

それなのに、それを私が難しいからと言って違う道を提案していた。

信じることが、出来ていなかった。

本来、私が教える側なのに、逆に教えられた。

信じることで可能性って見えてくる。

あぶねー!

また、気合、入った!

そして今日からブレず、逃げず、真っすぐに生徒を信じて突き進もう。

そう思えた日。

よきかな。





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ABOUTこの記事をかいた人

オンライン英語塾、EFL英語塾を経営。埼玉・東京一部エリアで家庭教師も実施中。英会話や英文法、学校補習を小学生から社会人まで全国幅広く指導。成績や偏差値だけで人間の価値は決まらない。英語を通して自分に自信をつけていく塾であるようにという想いから生徒と向き合っている。「私らしく、面白い人生を歩む」がモットー。